アイルランドが近い機は高度を下げ始めた。白い真綿の雲の中へ突入した。窓の外は灰色の世界、大粒の水滴が窓に打ち付けてくる。機は「ガタガタ」と音をたて、「震えながら」飛んでいる。雲の下に出ると小さい港が見えている。ダブリン港であろうか、1隻の小型貨物船が埠頭に停泊している。巨大なクレーンの姿はない。曇りのせいか海面が黒い。港を通過すると緑の田園と町が見える。機は高度を下げ着陸態勢に入った。国道が走っているが車は少ない。一国の首都空港の道路とは思えない。緑の中に近代的な高層ビル(5F)が見える。学校か病院のようで広い中庭がある。1時間で古いダブリン空港に着いた。乗客達はタラップに連結された通路を通り空港ビルに入った。僕は掲示板の案内に従いデリバリーに向かった。通路から冷たい風が流れ込んできた。半そで姿だったので「寒い」と思わず震えた。
イギリスとアイルランド間は面倒な入出国審査はいらない。空港ビルは小さい1階が到着ロビ-、2階が出発ロビ-で3階にレストランと喫茶店がある。これがヨ-ロッパの一国の首都にある国際空港とは思えない。トランクを押して到着ロビ-に出た。前が空港ビルの正面出入り口になっている。乗降客や出迎えも少なく閑散としている。ビルのドア-や壁は全てガラス張で外部からの光で明るい。その窓を通して前の道路が見えている。バスもタクシ-も僅かで閑散としている。「首都空港」のメイン道路とは思われない。これがアイルランドなのだろうか。ツ-リスト・インホメ-ション・センタ-( i マ-ク)は、正面出入り口の近くにある。その左隣に売店やマクドナルドが並んでいる。真向かいに小さい大衆バ-がある。カウンタ-内に若いバーテンが2人いる。この店は多くの客が入っている。1階の到着ロビーは乗客と出迎えの人々で混雑している。「人混み」を見て少々安心をした。
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