キリスト像と子供達とピースライン(壁)
10km程北に山脈がある、大阪の生駒山地に似ている。緑の中に農家が点在している。広い道が1本shannkillのほうに伸びている。車も人影もなく空き地が多く異様な感じだ。前方に道路をブロックする為の鉄製の大きい黒い門が設置されている。開いたままで車が通った。ひっそりとした小学校が見える。門を通過すると、道路際に古い連棟式(5軒ほど)住宅がぽつんと建っている。周囲が金網のフェンスで仕切られた広い「空き地」で、「異様」な雰囲気である。ぽつんと工事中の一軒家がある。左官さんに、「あの黒い壁は何ですか」と聞くと、「ピースラインだよ」とさりげなく答えた。道路脇で4歳〜5歳ぐらいの女の子2人と男の子が遊んでいる。写真を採ろうと近づいたら、恥ずかしそうに照れている。兄弟?友達?本当にかわいい紛争地の天使たち。連棟式の一番手前の家の扉は開いたままだ。奥まで見えていてキリスト像がある。
空き地に黒焦げのレンガの壁が続き、ペンキで「開放」と書かれた痕が残る暗いイメージだ。対照的に歩道奥の広い敷地にレンガ造りの綺麗な連棟式住宅が整然と建っている。網の目状の高い鉄製のフェンスがそれらの住宅を保護するかのように、歩道に沿って延々とshannkillのほうに伸びている。数軒の門前にユニオンジャックの旗がなびいている。「ここはイギリス・プロテスタントの領域だ」と、カトリック地域を完全に隔離している。そのフェンスには、所々に門が作られていて、そこから住宅街に入れる。躊躇なしに中に入って行った。レンガ造りの綺麗な住宅が並んでいて飾り窓があり裕福な感じがする。家から出て来た住民と目が合った。挨拶する人もしない人もいる。僕を「怪しい者」との見方はない。ユニオンジャックの旗と高い鉄のフェンスは、二つの民族と宗教を分断している。異様に感じられる境界線だ。これが無ければ、どこにでもある住宅街だ。もとの広い道に出てきた。
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