「紛争地帯 ピースライン と壁画」
道路の向こう側に、花屋(園芸)店とガソリンスタンドだけ寂しく建っている。周囲はフェンスで区切られた空き地が広がっている。東に行けばシャンキルのはずだ。ガソリンスタンドの横から、1本の道が南に伸びている。広い道だが僅かの車が通るだけ。ここも人影はなく異様だ。歩道の向こう側に高い金網のフェンスが延々と伸びている。内側に緑の芝生の広大な空き地がシャンキルの方(東)に広がっている。奥にユニオンジャックの旗が垂れ下がっている。プロテスタントの地域だ。レンガ造りの2階建(テラスハウス式)の綺麗な住宅が20棟(1棟に5〜8軒)ほど建っている。横目に見ながらシャンキルに向かった。右側に高さ10mぐらいの高いセメントの壁が歩道に沿って延々と伸びている。まるで「刑務所」の壁のようだ。壁は灰色で人影はまったくない。こんな曇り空でさらに陰気だ。
道の両側には店も建物もない。遥か遠方に街中心部の高いビル群が見えている。近づくと「刑務所」のその高い壁に10枚ほどの綺麗な絵が描かれている。全て洗練されていて素人のものではないようだ。縦1.5m横2mほどの大きなペインティングされた絵が目の高さに一列に並んでいる。その中に、今から行こうとしているシャンキルの古い時代の絵で、路面電車が走っている。見とれていると後ろでタクシーが止まった。2人の若いカップルで学生のようだ。女性の方が「今日は!」と挨拶をした。2人は絵を一枚ずつ丁寧に見ながら、感想を述べあっている。「どこからですか」、「カナダからです、歩いて来たかったのですが・・・、何かあるといけないのでタクシーで来ました」。2人は壁に何かサインをしている。確かに昼間でも陰気な場所だな」と思いつつシャンキルに向かった。周辺は人通りはなく僅かの建物があるだけで殺縛としている。
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