  
IRAの爆弾テロ
Water Looの放射線状の交差点に来た時異常さを感じた。Guild Hallの方面に人だかりがある。100人程度の「野次馬」で、その前列を、先ほどの装甲車と他の4台で道路を閉鎖している。小銃を持った10名ほどの警官がバリケードを造っている。僕の横で、「ぶつぶつ」不満を言っているおばさんがいた。「どうしたんですか」と聞いた。彼女は「テロリストが爆弾を破裂させたんです」と怒っている。前の方で男が「俺の店と家が中にあるんだ。どうにかしろ」と叫んでいる。警官達は無表情で何も答えない。「よくあるんですか」と僕、「特定の日は確立が高い」と彼女、「いつまで閉鎖するんですか」、「警察が、安全と判断するまで」、「あの人たちは、店に帰れないのですか」、「すぐに終わるでしょう」、「なぜわかるんですか」、「いつもだから、若者が洗脳されてやっている」、「小さい爆弾を破裂させているだけだ」とおばさんが不満そうに言った。その時、「バーン」と100m程前方で爆発音が聞こえた。「子供だましだ。こんなことばかりで・・・」と彼女、さらに、「あなたは日本人ですか、日本はこんなことはないでしょう」と、「怒りながら」聞き返された。「日本だって、いろいろな問題を抱えている」と答えておいた。ここまで話が出来たから、「あなたは、イギリス系プロテスタントですか」と聞いてみた。「そうです、娘が待っているから・・・」と帰って行った。B&Bに向う事にした。
B & B
B&Bはすぐに見つかった。広い道路に十分な歩道を伴って中層のビルが並んでいる。静かなところだ。4階建てのレンガ造りの「集合ビルだ」。1つの大きなビルを、4~10軒程度で分け合っている。少々質素だがダブリンの「ジョージズドア」と同じで、綺麗なドアーが並んでいる。歩道から階段が5~6ステップあり、ノブ式の木製のドアーがある。歩道とビルの間が2mほどあり、地下に自然の明かりを送っている。地下1F、地上4Fということになる。このこのビルにB&Bがの看板が数軒ある。該当のドアーをノックしたが何の反応もない。窓を見ると、すべて薄いカーテンが引かれている。人の気配が感じられない。住所、名前を確認したがここに間違いがない。よく見るとドアー横に「小さい張り紙」がある。「御用の方はxxx通、xxxに来てください」と書かれている、近くだ。ノックすると中年の女性が出てきた。長身で体格のいいしっかりした感じの婦人だ。「ようこそ、これからの予定は?」と聞いてきた。「夕食に街に出ようと思っています」と彼女の顔を見ながら答えた。「部屋を案内するわ」と彼女。2階の奥が夫妻の部屋のようで、手前を事務室に使っているようだ。主人がパソコンで事務処理をしている。彼女は主人を紹介してくれた。「部屋は4階」と案内した。彼女は簡単な説明をしながら、「旅行ですか」と尋ねた。「ベルファーストとデリーは、一度は訪れたい街だったんです」と僕、彼はキーボードから手を離し、「目的は何ですか」と少々真剣なまなざしで尋ねた。「イギリスとアイルランド両国間の文化・宗教・政治に関心があります」と言うと、「ごくろうさま・・」と冷めた表情が帰ってきた。奥さんが横で聞いている。「僕の返事」が、彼らに「悪い印象」を与えたかもしれない。その時、「バーン」と遠くで爆発音が聞こえた。彼女は「あなたが、見たいものだ!」としかめ面をして目の前の窓を開けた。窓から顔を出し音のした方向を見ている。「行ってらっしゃい!」と追い払うような手振りをした。「ここは外国、自己表現をするのもよいが、やはり場所が場所だけに表現には注意が必要」だと思った。鍵を受け取りバッグだけ持ち早々に出かけることにした。5時過ぎ曇っているが明るい。温度は「暖かい」という感じだ。
爆弾テロの検問
B&Bの門を出て20mほど歩いた。曲がり角に装甲車が1台、機動隊員が3人通行人を検問をしている。この周辺に「アジト」があるようだ。WaterLoo Placeは1時間以上経過しているのに、装甲車と人だかりが残ったままだ。「野次馬」の数が少なくなった。もう一度城壁の街が見たくてMagazine Gateから入城した。このあたりは店と人が少ないようだ。1時間ほどウインドショッピングでもしようと思っていた。あの賑わっていたThe Diamond街に向かった。ところが、店は閉まりかけている。人も、車も激減、まるで「バーゲンセール」が終わった後の感じだ。静寂の城壁の街、不気味な程の静けさ、「こんなことってあるんだろうか」と思った。PUBでギネスで食べて帰ろう。ButcherGateから城外に出ることにした。城内のホテル(高級)TowerHotelの方に歩き始めた。人影はまったくなくなった。日は暮れているが空はまだ明るい。街頭も明るく物騒なことはない。
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